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企画業務の工数が9割削減。思考の「型」を手に社員みずから変わる組織へ
企画業務の工数が9割削減。思考の「型」を手に社員みずから変わる組織へ
企画業務の工数が9割削減。思考の「型」を手に社員みずから変わる組織へ
写真左から、タカラスタンダード株式会社 管理本部 人事部 笠原直樹様、木道健様、西野由佳理様・TDX推進本部 IT戦略部 角有人様・TDX推進本部 構造改革推進部 川田恭平様、うねり株式会社 クライアントサクセス部 人材・組織開発グループ コンサルタント 清水花梨・講師 中村麻里奈
タカラスタンダード株式会社様
業種
製造
ジャンル
人材育成支援
従業員数
5000名以上
成果
生産性アップ
※この記事は2025年10月22日取材時の情報です

ホーロー素材を活かした高品質な製品づくりと、お客さまの暮らしに寄り添う提案力を強みとされている、住宅設備機器メーカーのタカラスタンダード株式会社様

この度、創業110周年を記念してエントランスをリニューアルされた本社にお招きいただき、今年実施した「シリョサクメソッド研修」を振り返りました。

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ご依頼の目的

  • 資料作成業務における新しい文化への対応力を上げること

  • 企画・提案業務の基礎を身につけること

支援内容

  • 概要:企画や提案に活きる「思考の型」をテーマにした4時間の研修

  • 対象者:企画職を中心とした社員61名

  • カリキュラム:資料作成の基礎(言語化編・スライド化編)

成果

  • 企画業務にかかっていた時間が大幅に短縮された(最大2週間分)

  • 社内で作られる資料の質が上がり、意思決定を進めやすくなった

  • 社員が持っていた資料作成への苦手意識がなくなった


環境の変化とDX推進の壁

― 今回の研修導入に至った経緯からお聞かせください。

 当部では、資料作成業務において「なんとかしたい」と漠然とした思いがありました。

例えば、資料を作るにしても、商品ごとのコンセプトに適していないため、最初から見直して作成しなければいけない場合や、そもそも資料の作成方法がわからないため、業務が負担となる場合があります。そういった、資料を作る人たちの悩みを何とか解決したいと思っていました。

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 一方で、私や人事の社員は、DX人材の育成という観点から、多角的な取り組みをしていきたいと考えていました。そこで、別の担当者がシリョサクさん(現うねり株式会社)の話を持ち掛けてくれました。私も社名は存じ上げていたので、そこから「おもしろい取り組みになりそうだね」と話が進みました。

川田 組織が立ち上がって間もないTDX推進本部は、それまで現場で最前線の業務をこなしていた社員ばかりでしたので、企画職とは縁がありませんでした。

そのため、資料を作成して上申した経験も少なかったですし、それ以前にどのような資料を作成すればいいのかもわかっていない状態です。自分の思いを資料に書き起こしてみましたが、それを上司に見せても企画が進みませんでした。

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― そこに新しい取り組みとして資料作成の研修を導入するには、社内を説得するパワーもかかると思うのですが、その辺りはいかがでしたか?

 そもそもTDX推進本部の社員向けとしてスモールスタートの予定でしたので、難しくはなかったです。異動によって資料を作らなければならない立場になった人に向けて、シリョサクメソッドの「QAR」や「キメヘン」を教えて、「共通認識を持って資料を作成する」ということを伝えるために始めました。

その中で、もし席が余っていたら他部署の社員にも参加してもらおうという話になり、募集をかけたところ、多くの応募がありました。

― そのお話を聞いたとき、私たちもすごく嬉しかったです。学びを持ち帰って自分の仕事に活かすんだ、と渇望されている方々が応募してくださったんだなと思いました。

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紙文化からパワポ文化へ

笠原 少し話を戻すと、背景として、弊社でPowerPoint資料を作る流れが来たのはコロナ禍以降からです。それまでは紙に書くことが主流でした。

ノートパソコンが配られて、「紙はやめてPowerPointを使おう」となった結果、社内では不慣れなPowerPointを前に戸惑う社員が多くいました。資料の構成という概念と真剣に向き合い始めたのもその頃です。そのため、操作方法以前に、資料づくりをイチから学びたいと声が多く上がっていました。

― なるほど。以前から、デジタルスキルを身につけさせるような研修は実施されていたんですか?

笠原 WordやExcel、パソコンの使い方といった研修はありました。ただ、新しく必要になってきたのが資料作成のスキルだったので、それに対応する御社の研修を検討することになりました。

― 自分が伝えたいことをどのようにして資料に載せるか、どう表現するかというところに直結する学びの場はまだなかったということですね。

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― 今回、うねりの研修を選んでいただいた決め手はどこにあったのでしょうか?

 独自のフレームワークを持たれていたことですね。

以前に知人から『秒で使えるパワポ術』というおもしろい本があると聞き、書店で平積みされていたのを見かけた際に手に取りました。ページをめくると非常に興味深く、特に「桃太郎パワポ」は衝撃的で、「提案とはこういうことか!」と気づかされましたね。

こんなにおもしろいのに、仕事に必要不可欠な考え方や伝え方をわかりやすく、かつ、キャッチーなワードで説明されていたので、その「良い意味で予想を裏切るアプローチ」に期待できました。

― キャッチーな形でお伝えするのは、私たちのこだわりのひとつです。難しい話を堅苦しく伝えてしまうと、ハードルが高いと感じられてしまいます。特に御社のようにPowerPointに親しみのない環境で「ロジカルシンキングとは」と始めると、受講者の理解度を上げづらいので、うねりの研修がマッチしたのだと思います。

笠原 打ち合わせの中でもお話ししていましたが、「THEパワポ研修」のような一般的に想像されるPowerPoint研修では、デザインをどうするか、色はどうするか、といったHOWの話が中心になりがちです。でも、まず紙とペンで思考を整理してみるとか、PowerPointを使う前段階が非常に重要ですよね。

― おっしゃる通り、ビジネスシーンにおいては、HOWだけで物事を動かせるわけではないので、まずWHATやWHYを言葉で整理していく必要があります。

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変わる、社内コミュニケーション

― 研修後、社内にどのような変化がありましたか?

川田 社内で作られる資料のクオリティが上がったことに加え、社員が抱えていた「資料に対する苦手意識」は、大きく解消されています。どうにかして上司の期待に応えようと試行錯誤していた社員たちが、今回、フレームワークを与えられたことによって、少し気楽に向き合えているようです。

作成者自身が改善すべき点に気づきやすくなり、さらに型を武器に解決へと進めているので、「こんな風に作ってみた」と前向きなコミュニケーションが増えたなと感じます。

― いいですね!これまで「仕事をもっとおもしろく。」をモットーにしてきた私たちにとっても、その前向きなアクションが生まれているのは嬉しい限りです。

川田 ほかにも、「聴き手」の意識が強くなっていると感じます。

今まで自分起点で話を詰め込んで作っていた資料が、「相手が求めている情報は何だろう?」などの問いから考えて作るように変わっています。チームで作成するときも、各人の主張のぶつかり合いではなく、一丸となって「この人のためにどうすべきか」に思考の時間を割くことが増えました。

 たしかに、研修を通して共通認識ができたので、「この資料の聴き手は誰か」と一度立ち返って話すこともあります。

― お手本のような状態ですね!

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木道 これは良い意味ですが、怒られる機会が増えたんですよ。

― それはどういうことですか?

木道 共通認識ができた分、逆にそれを守らないと怒られますね。

全員 (笑)

笠原 そうですね。例えば私たちのグループは、研修が終わってからすぐに、PowerPoint上でキメヘンの欄を設けて、それを1ページ目にして資料を作るようになりました。レビューのポイントも明確になっているので、逆にそれができていないと指摘されます。

これは全然悪い影響だと考えておらず、レビューする側も改善点を具体的に伝えられますし、それを受ける側も「なぜダメだったのか」を理解しやすくなっているので、コミュニケーションロスの削減に効果的だと捉えています。

― 前向きに捉えていただけて良かったです(笑)

テンプレート×研修=戦力

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笠原 削減に関連して言うと、工数の削減も徐々に見られています。これは一例ですが、2~3週間はかかっていた業務が1日に短縮されました。

― …1日ですか!?

笠原 はい。社内で企画を通すために、その都度、資料の構成をイチから考えていましたが、今はお決まりの型に当てはめるだけなので、かなり短縮されています。

木道 さすがに私はまだ1日では作れませんけど(笑)資料作成が得意な笠原さんの考え方に近づいて、アウトプットするまでの時間が短くなったと感じています。

笠原 多少の個人差はあるものの、企画業務自体が初めての人でも、これまでよりは早く業務に慣れていける環境になっています。

― 社内の工数を減らせるというのは、人事部としても大きな成果になりますね。

西野 私は3か月前に人事に異動してきて、まず初めに研修のアーカイブを視聴するように言われました。不慣れな環境ではありましたが、視聴後にいくつか提案を出したら「この“あげよう”、いいね」と褒められて、シンプルに嬉しかったです。

笠原 わかるようになると、不安が少しずつ消えて行動しやすくなりますよね。行動が増えれば褒められやすくなる。やっぱり、褒められるってシンプルに嬉しいですし、楽しさに繋がります。

西野 社内で動画を視聴できるようになっているので、自分で見てからすぐに、前の部署の社員へすすめました。

― 「こうやればいいんだ!」を提供できたのは、私たちとしても嬉しいです!

西野 今後も繰り返しアナウンスし、デジタルリテラシーの維持・向上施策としても研修動画を活用していこうと思っています。

― 研修は開催して終わりになってしまうのが一番もったいないので、ぜひ使い倒してください。

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― 今回の研修後にナレッジが浸透したのには、新實さん(インタビュー当日ご不在のご担当者様)が作られたテンプレートの存在も大きかったと思います。

川田 学びを定着させるための後押しになっていましたね。

 あのテンプレートによって、武器を与えられた気がしています。比較的早い段階で他部署でも需要が出てきて、今でも新實が作ってくれたテンプレートで資料ができあがっているようです。

― テンプレートを拝見したとき、こんなに高品質なものを作れる人がいるんだと驚きました。キーメッセージ用の入力スペースを設けるなど、研修で扱っていたフレームワークが反映され、連動性がある点が素晴らしいです。

 これは外で聞いた話ですが、会社でツールを新規導入する際、必ずテンプレートを用意して配布するそうです。単にツールを渡すだけでは何から始めればいいかわからず、頭も手も動かないらしく、そのゼロからイチに進むための型を渡すことで、人は次の思考のステップに進めるというのが、おもしろいなと思いました。

― たしかに、何事も最初の一歩目は負荷がかかります。そこで、型を渡して、ある程度思考の幅を狭めてあげると、スッと一歩目を踏み出せるというのはありますね。

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「おもしろい」が育成の新たなスタンダード

― 今回の研修を振り返って、今までの研修とは違ったと感じられる点はありますか?

笠原 私が感じたのは2点あります。1つ目は、研修の時間が苦ではなかったことです。これまでの常識が覆された感じがします。研修自体もすごく練られていて、受講者を楽しませる、一種の社内イベントになっていたのが、次回の開催をお願いすることになった理由の一つです。

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笠原 そして2つ目は、誰でもすぐに次のアクションに移れる研修だった点です。今日から始められることや、誰にでもこの一歩なら踏み出せると思える内容でした。5歩目にいる人も6歩目を踏み出せますし、まだ0歩目の人も1歩目に進める。その、どの段階からでも、ある程度一歩を踏み出せるという、一歩のちょうど良さが、うねりさんの研修の魅力です。

川田 事務局として受講の様子を見ていましたが、うねりさんの研修の時は、みんな前のめりになって聞いていたなと思いました。

― ありがとうございます。これまで登壇した中でもダントツでNPSが高く、中村史上最高の成功事例になっています。

笠原 誰にとっても持ち帰られるものがある。受けて終わりではなく、受けて始まるような研修をご提供いただけたのがとてもありがたいです。

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― 人材育成の分野で同じような悩みを抱えている企業さんに向けて、アドバイスがあればお聞かせください。

川田 育成そのものを、人のため、会社のためと考えると、非常に難しく感じますが、うねりさんの研修のように、一種のイベントとして目の前の人を楽しませることから始めるのも一つの手だと思います。

やっぱり「おもしろい」ってなんだかんだ重要です。その興味・関心が、変わるきっかけになることも多々あります。「ちょっとやってみようかな」と挑戦したくなりますし、「自分にもできるんだな」と思えれば、人は自ずと成長していきます。

― 「育成」と考えると難しいですよね。おっしゃる通り、その背中を押すのが、意外にも「おもしろい」なのかもしれません。

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笠原 目の前の人を楽しませるには、最初の一人が「らしくないこと」をするファーストペンギンにならないといけないかもしれません。それはとても勇気がいることですが、その目新しさに賛同してくれる人はいると思います。そうやっておもしろさを見出していくと、組織も少しずつ変わっていくのではないでしょうか。

― 私たちの社内でも「2人目に踊る人になる」という概念を大事にしています。誰も踊っていないところで一人が踊り出しても、大体の人は「あの人踊ってるな」と傍観して終わってしまう。でも、2人目がそこに乗って踊り出すと、3人目、4人目と続いていく。それがムーブメント、つまり、うねりになっていくんです。

 うねりは2人目が作り出すそうですよ。

― そうなんです。ファーストペンギンを称えてあげる人がいないと、成功体験に結びつかないうちに頓挫してしまいます。なので、2人目をどう作るかが重要で、そこに私たちが起こせるムーブメントがあるんじゃないかと思っています。

笠原 なるほど。らしくない試みと、「ロックだね」とおもしろがれる環境が、組織や社会を大きく変えていくんでしょうね。

― そうです!ロックに行き、ロックを楽しみましょう。

(撮影/阿久津 勇太郎 取材・文・編集/清水 花梨)

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