ロゴ
メニューボタン
ホーム
>
>
研究成果を事業につなぐ組織づくりと、「伝える力」の重要性
研究成果を事業につなぐ組織づくりと、「伝える力」の重要性
研究成果を事業につなぐ組織づくりと、「伝える力」の重要性
写真左から、株式会社アシックス 研究戦略部 研究データマネジメントチーム  宮崎陽輔様・マネジャー 平野賢様、うねり株式会社 クライアントサクセス部 人材・組織開発グループ コンサルタント 尾藤択郎・講師 中村麻里奈
株式会社アシックス様
業種
アパレル
ジャンル
人材育成支援
従業員数
5000名以上
成果
提案力アップ
※この記事は2025年12月23日取材時の情報です

最先端の技術と知見が集まる、株式会社アシックス様の心臓部とも言える「アシックススポーツ工学研究所」。高度な専門性を持つ研究員たちが集うこの組織では、ある共通の課題を抱えていました。それは「専門外の方にも研究の価値を理解してもらえるように伝えること」です。

多様なバックグラウンドを持つ研究員が集まる同研究所が導入したのは、資料作成研修という名のビジネス総合力研修。今回、本格的なトラックや体育館が併設された研究所にお招きいただき、導入を主導された宮崎様とマネジャーの平野様にお話を伺いました。

works-asics-09


ご依頼の目的

研究後のプレゼンで「やったことの羅列」を脱却し、「本来伝えるべき価値が伝わる資料」を作れるようになる

支援内容

  • 概要:聴き手目線の資料作成に欠かせない思考法を伝える研修を2時間実施

  • 対象者:研究戦略部の10名

  • カリキュラム:資料作成術(言語化編)

成果

  • 研究テーマの必然性や研究者本人の示唆が理解しやすくなった

  • 他者の研究の理解度が高まることで、自部門への転用・展開の糸口を掴みやすくなり、ナレッジマネジメントの真価が発揮された

  • 個人のスキルに依存しない、再現性のある資料作成メソッドが部署内に浸透し、本番2時間前に代打登壇が決まったプレゼンでも成功できた

  • 日常的にメソッドが意識されることでコミュニケーションコストが下がり、本質的なディスカッションに時間を割けるようになった


伝え方を変えて研究成果にあるべき評価を

尾藤 まずは、研修の導入に至った組織的な背景からお伺いさせてください。

宮崎 私たちスポーツ工学研究所には、バイオメカニクスや心理学、情報系や材料系などそれぞれ異なる専門分野を持つメンバーが集まっています。

works-asics-01

宮崎 そのチーム内で研究の進捗や結果を話す会がたびたびあり、出席者が意見を出し合って報告資料のブラッシュアップをしています。そこで、「本当に価値のある研究をしているけど、その価値が伝わりにくいよね」という話があがりました。

結論自体はあるものの、それを伝えるために話すべきことが整理できておらず、頑張った実験や分析の過程を時系列順にただ羅列してしまっている。実力よりも過小評価されていて、もったいないと感じました。

平野 マネジャーとしても、メンバーの発表を聞いていて「結局、何が言いたかったのか?」が汲み取りにくい場面があり、個人のスキルへの依存を感じていました。

専門家集団に響いたのは「思考の整理」

尾藤 数ある研修会社の中で、弊社を選んでいただけた理由はどこにありますか?

宮崎 もともと御社の代表とは高校の同級生で、彼が起業したことも知っていました。ただ、それを抜きにしても、提唱されているプレゼンの思考プロセスに納得感がありました。

私たちは普段、研究の中身やその価値をどのように証明するかという点に全神経を注いでいます。だからこそ、その成果を損なうことなく他者に届けるための「伝え方の思考プロセス」を新たに実装する必要があると考えました。

磨き上げた研究内容に、御社のメソッドを掛け合わせることで、一層本来の価値を理解してもらえるようになる。そう確信できたことが決め手です。

works-asics-02

平野 宮崎から紹介されて、事前にYouTubeで動画を何本か拝見し、非常に腹落ちしました。わかりやすいから若手社員に研修を受けてほしいと思いましたし、経験を積んだマネジャー層にとっても、今まで各々が自己流でやっていたことが言語化され、レビューに活かしやすくなる内容だと期待できました。

尾藤 ありがとうございます。スライドの一枚一枚の作り方やツールの操作方法というより、資料全体のストーリー設計に注目してくださったんですね。

準備2時間の「代打プレゼン」で見えた標準化の価値

works-asics-03

尾藤 研修を経て、社内ではどのような変化がありましたか?

宮崎 研修の1か月後に、社内で一年を締めくくる成果報告会があり、教えていただいた「キメヘン」「あげよう」のフレームワークを使ってメンバーそれぞれが整理していたので、わかりやすいプレゼンが続く報告会だったと感じました。

平野 同じチームの私たちもですが、他チームのメンバーからも「自分たちの商品開発にどう応用できるかイメージが湧いた」といった声が届きました。その後の質疑応答も活発で、自チームの研究が組織の資産として正しく認識され始めたと手応えを感じています。

また、最後には部長からも、「技術的な詳細だけでなく、その研究がどう事業貢献するかのロジックが明確で、次のフェーズで何をやるのかがわかりやすかった」という趣旨の評価をもらえています。今回の取り組みが、研究の価値証明に直結した瞬間でした。

尾藤 非常に重要な報告会だと伺っていたので、そう言っていただけてホッとしました。

works-asics-04

宮崎 実は報告会の当日、発表予定だったメンバーが急遽登壇できなくなってしまい、本番の2時間前に私が代打を務めることになりました。

準備がほぼできない中でしたが、彼が今回のプレゼンで押さえるべきポイントを言語化して、ストーリーを作ってくれていたおかげで、誰が話しても内容が伝わる状態になっていましたので、無事にプレゼンを終えられました。研修を通して組織力が上がったと感じています。

平野 てっきり、宮崎はもっと前から「自分が発表するかもしれない」と準備していたのだと思っていました。それほど自然でしたから、「実は2時間前に決まった」と聞いて驚きましたよ。

何も言われなければ、宮崎が作った資料だと思って聞いていたはずです。これは単に彼が器用だという話ではなく、チーム内で「思考の型」が完全に標準化されていることの何よりの証明だと思います。

works-asics-05

中村 誰が作った資料であっても、自分の言葉のように語れるレベルまで型が浸透しているということですね。

宮崎 そうですね。スライドのキーメッセージが聴き手の問いに対する答えになっていたり、各ページの主張がまとめられていたりと、「伝えるためのストーリー構成」が共通言語になっていたおかげです。自分が作った資料でなくとも「次に何の話をすべきか」が直感的にわかるので、迷いなく話せました。

尾藤 属人化が解消され、再現性が証明されたんですね!

資料作成メソッドは異なる才能を活かすインフラになる

works-asics-06

尾藤 プレゼンの場以外にも、マネジメント業務や日常のコミュニケーションに変化があったと伺いました。

平野 隔週の1on1ミーティングにおいて変化を感じています。 以前は話が長くなりがちだった場面でも、メンバーが「まず結論から話す」と意識してくれていて、聴き手として何を求められているのかがわかりやすくなりました。コミュニケーションコストが下がった分、研究内容そのものをはじめとした本質的なディスカッションに時間を使えています。

宮崎 私たち研究職にとって、本当にやるべきなのは「会議」ではなく「議論」だと思います。お互いが共通のフレームワークを使って対話することで、会議の前提共有や説明にかかる時間を短縮し、その分をよりクリエイティブな壁打ちの時間に充てられるようになる。これは組織として大きな成果だと感じています。

works-asics-07

中村 共通認識が生まれたことで、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが、より早く実力を発揮できる環境になったのですね。

平野 そうですね。私自身も転職組なので痛感します。中途入社のメンバーは、高いスキルを持っていても「この会社での正解」や「期待への応え方」が言語化されていないと、アジャストすることに苦労します。だからこそ、受け入れる側のマネジャー層と、新しく入るメンバーが同じ思考の型を持っていることが重要です。「郷に入っては郷に従え」と言いますが、その郷のルールを最初に手渡してあげることが、即戦力を“真の即戦力”として輝かせるためのインフラになるのだと思います。

今回の研修は「資料作成を学ぶ研修」ではあったものの、結果的に受講者が得たものは「ビジネス総合力」でした。今後新たに入るメンバーにもこのメソッドを伝えて、即戦力として活躍できる環境にしたいです。

works-asics-08

(撮影/阿久津 勇太郎 取材・文・編集/尾藤 択郎)

うねりに相談する

うねりは、企業活動における言語化・アウトプットを支援するクリエイティブカンパニーです。
組織の成果創出にお悩みでしたら、ぜひ一度私たちにお話をお聞かせください。