「一流の商品とサービス」を世界中に提供し、たしかな技術力で社会課題の解決に取り組まれている住友重機械工業株式会社様。
今回は、グループ全体のIT・デジタル戦略を牽引するICT本部の大津様・西潟様に、組織の思考力を底上げするために伴走支援した「階層別研修」と、そこから生まれた変化についてお話を伺いました。
ご依頼の目的
社内の有志で始まった「ビジネススキル&資料品質向上委員会」の活動を進めるため
支援内容
ICT本部で各人の考え方・伝え方の再現性を高くし、各々が自走できるような環境をつくるため、お手本資料の制作から研修後の個別相談会までの大型プログラムを実施。
▶テンプレート・ベストプラクティス制作
期間:2024年12月~2025年1月(準備期間を含む)
内容:既存資料を元に「お手本」となる資料を制作
▶基本スキル研修
対象者:ICT本部全社員
期間:2024年12月~2025年1月(準備期間を含む)
内容:「資料作成スキル・ステップ」の共通言語づくり
▶リーダー向け伴走型研修
対象者:リーダー職以上のうち30名(事務局側で指名)
期間:2025年2月~2025年4月(準備期間を含む)
内容:個別添削を交えた実践的な資料作成トレーニング
▶駆け込み寺
対象者:ICT本部社員(手挙げ式で募集)
期間:2025年7月〜2025年12月(準備期間を含む)
内容:個人の資料作成の悩みをはじめ、企画案やキャリアの相談など
成果
思考整理のフレームワークと資料のテンプレートが部署全体に定着した
研修内容を転用し、即座に簡易レビューを受けられるAIエージェントを内部で開発できた
ニュースレターの読者満足度が、50%台から90%台へ急上昇した
石野 今回、「ビジネススキル&資料品質向上委員会」という御社の有志の集まりが起点でご依頼いただきました。まずはこちらの発足の背景や概要をお聞かせください。
大津 われわれ住友重機械工業グループには、働きがいが感じられるような、活気ある職場環境の実現に向けた「PRIDE PJ」(プライドプロジェクト)という活動があります。今回はその一環で、ICT本部内で「ビジネススキル&資料品質向上委員会」を発足しました。
こちらは組織力強化や業務効率化を最終的なゴールとし、資料のクオリティアップを目指すものです。ICT本部のメンバーが自主的に集まって取り組んでいます。
小川 自主的に集まるってなかなかエネルギーがいることだと感じますが、それにはきっかけがあったのでしょうか?
大津 はい。もともとマネジメント層から、IT企画における関係部署の巻き込み力に問題意識があると言われていました。本来であれば、企画を通すにあたって他の部署を自ら巻き込んでいく必要がありますが、企画が通った前提で会話する傾向にあったため、「どうやるか」のHowを中心に考えてしまい、「なぜそれをやらなければならないのか」というWhyの思考が抜けやすくなっていました。
西潟 Whyもですが、極端に文章が浅かったり、説明が不足していたり、逆に長すぎて複雑になったりと、ロジカルとは言い難い状態でした。そこに対して、企画の承認者であるマネジメント層から指摘があったという流れです。
大津 その言葉を受けて、ICT本部内でアンケートを取ってみると、やはり現場としても資料作成における教育の必要性があると声が上がりました。
西潟 ここ数年、ICT本部は中途採用者が大量に入り、規模が拡大しています。その中に私たちのようなコンサル系出身の者もいて、部の底上げの必要性を感じていました。ちょうど冒頭に申し上げたPRIDE PJでの課題感ともマッチしたので、話が進んでいったというわけです。
石野 有志でやられているとお伺いしたとき、私としては結構な驚きでした。
西潟 委員会として集まる前、メンバー間で「これまでコンサルでどんな教育を受けていたか?」「そういった教育はICT本部に対してオープンに取り入れられないか?」と話していました。お互い、なんとなく問題意識があったようです。
小川 マネジメント層から挙がっていた問題意識について、もう少し具体的にお伺いさせてください。企画が通らないことが日常的に起きていたのでしょうか?
西潟 はい、珍しいことではなかったです。HowばかりでWhyがなく、企画の目的が伝わらないまま「承認してください」とお願いする案件がちらほらありました。本部長も「Whyもないし、このページで何を言いたいのか、主張が何なのかがわからない」と言っていました。
大津 また、作成者が企画の作り方について具体的な指摘や教育を受ける機会が少なく、上位者から「もう1回考え直して」「シンプルにして」と差し戻しが繰り返されていました。そのため、会議での承認が取りづらく、意思決定が停滞し、全体的に無駄な工数が発生してしまっていました。
石野 資料が差し戻されても、作成者側は何がダメだったのか理解できず、また同じような資料に仕上げてしまうという悪循環があったのですね。
西潟 その通りです。企画が却下されて手元に戻っても、改善につながる振り返りはされていませんでした。レビュワーは「論理立っていない」と感じてはいるものの、それを明確に指摘する場でもないため、うやむやになってしまう。作成者本人も問題点に気づけないままで、一向に良くならないという状況でした。
石野 複数のベンダーを比較検討された中で、うねりを選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか?
大津 私たちの思想と同じだったからです。
今回、他社も含めてコンペをさせていただいたのですが、私たちは資料の見た目やテクニックではなく、ストーリーとロジカルシンキングにこそ課題があると考えていました。うねりさんも、初回のご提案から中身やWhyにこそ本質があると話してくださったので、安心できると確信しました。
西潟 こちらの要望をしっかり聞き取って、ニーズに応えようとしてくれる姿勢も伝わってきましたね。加えて、当時の「シリョサク」という社名もわかりやすく、社内に説明しやすかったです(笑)
石野 ありがとうございます(笑)わかりやすすぎるゆえに、実際の提供価値とのギャップが生まれてしまったので、ムーブメントを表す「うねり」へ社名変更しました。
石野 ご提供したのは、約1年にわたる包括的なプログラムでした。まず、型とお手本を弊社側でご用意する「テンプレート・ベストプラクティス制作」、続いて全体向けの「基本スキル研修」と選抜メンバーだけの「リーダー向け伴走型研修」、そして希望者向けの「駆け込み寺」の4つです。
西潟 最終的に着地したこのご提案は、全体に広く基礎を学ぶ回と、リーダー向けにもう一段階入り込んで訓練する回に分かれていましたね。得た知識を部や課に広げていくためには、それを推進していくリーダーが必要ですから、その育成までお願いできて助かりました。
小川 駆け込み寺については、どんな反応がありましたか?
西潟 1on1で自分の困りごとを素直に聞けた上に、的確に回答してもらえてうれしかったという声が多いです。当日急に別の資料を出しても対応してもらえたとも聞きました。基本的にはリーダーに相談して、それでもわからなかったら駆け込み寺へ来てもらうという形が、先ほどお話ししていた2つの研修と相性よく、非常に良い取り組みだったと思います。
大津 一辺通りの研修ではなく、私たちICT本部のための研修を作ってくださったと感じています。研修の前にはテンプレートやベストプラクティスも作っていただいたので、お手本とツールもセットになったお得感がありました。
小川 そう言っていただけて嬉しいです!
石野 特に駆け込み寺は小川さんがメインで進められていましたよね。どんな相談がありましたか?
小川 資料作成の話が中心で、資料の構成づくりや、企画そのものの壁打ち的な相談が多かったです。研修で「聴き手目線で考えましょう」「メッセージを伝えることが大事です」などとお伝えしていたからこそ、頭を動かす段階での相談が多かったのかなと思っています。
西潟 1回目の相談は想定外のテーマでしたね(笑)
小川 そうですね(笑)新卒者5名が作った資料に、2時間レビューしました。工場見学の研修後にマネージャーへ報告資料を出さなければならないそうで、「実際に使う資料」へのレビューだからこそ、私もやりがいがありました。
西潟 このようなプログラムの編成って珍しいものですか?
石野 プログラム自体はさほど珍しくなく、これまでも近しい編成でご提供したことはあります。
過去との大きな違いを挙げるとすれば、お客さま側のプロジェクトに参画させてもらったことです。通常は、部署内で資料作成の課題意識を持った方がいて、われわれがコンサル的に一緒に改善する流れになっています。一方で今回は、先にプロジェクトの枠があって、それを誰と進めるかを検討されているところから始まりました。
そのため、はじめから「こうしたい」と明確な意思を共有していただけて、うねりとしては珍しい機会だったと思います。でも、社内のことはお客さまの方がお詳しいので、今回のようにリクエストをいただいて進行する方が本質的ですね。
石野 約1年の取り組みを経て、組織に変化はありましたか?
大津 他の事務局メンバーから、Microsoft365の活用情報を発信する社内向けのニュースレターで驚くべき変化があったと聞きました。
以前は、技術職特有の「機能や仕様の説明」に終始してしまい、読者満足度は50%程度だったところが、直近のアンケートでは90%台まで上がっていたそうです。
研修で教えていただいた「読み手のメリット」とも言えるWhyを中心に構成を見直し、記事ごとに「キメヘン」(=読者にどう行動を変えてほしいか)を定義してから執筆するようにしたことで、「とてもわかりやすくなった」「自分事として捉えられる」という嬉しい声が届いています。
西潟 もう一つ、最大の成果と言える事例は「独自のAIエージェントの構築」です。研修で習ったフレームワークが受講者にとって非常に有用だったので、AIエージェント構築の担当である野村と秋埜が、フレームワークを学習させたAIを自発的に開発してくれました。
石野 ありがたいことにGoodなお話ばかり伺っているので、今後のためにもMoreな点があったら教えてください。
大津 これはどちらかというと当社側のMoreですが、あらかじめ入念に地盤固めをしておくべきでした。研修を受ければその必要性に納得できるものの、目の前の仕事に追われていて、最初は腰が重かった人もいたようです。せめてマネジメント層だけにでも、もっと丁寧な説明ができたらよかったなと思います。
小川 マインドセットって大事ですよね。駆け込み寺で添削のご依頼を複数受けたのですが、全員に対して同じ温度感で話してしまいました。そこはパーソナライズして、率直に言うとか、Goodを十分に伝えた上でMoreに触れていくとか、配慮すべきだったなと思っています。
石野 学んでもらうときって、自分の熱い想いが先行して、相手のマインドを忘れやすいものですよね。次に活かしていきましょう!
西潟 それでも、今回の研修プログラムは成功だったと思っています。特に企画業務を担う部署や他部門を巻き込んで意思決定をしていく場面では、Howの前にWhyが重要です。今回、そこにフォーカスしてお力を貸していただけて助かりました。
大津 今の時代、AIを使えばHowは出しやすいですよね。一方で、その前段階の思考整理や、まだ目に見えていないアイデアの言語化には、人間の力が必要だなと感じています。
うねりさんは、単に研修を提供する会社ではなく、私たちと一緒に汗をかいて、同じ熱量でWhyに向き合ってくれる「真のパートナー」だったと思います。
石野 「真のパートナー」、ありがたいお言葉です。本日はお時間をいただきありがとうございました!
(撮影/阿久津 勇太郎 取材・文・編集/小川 真和)
うねりは、企業活動における言語化・アウトプットを支援するクリエイティブカンパニーです。
組織の成果創出にお悩みでしたら、ぜひ一度私たちにお話をお聞かせください。