株式会社みずほフィナンシャルグループ様は「ともに挑む。ともに実る。」をパーパスとして掲げ、日々変革や改善に取り組まれています。
シリョサクでは、2023年にお問い合わせいただいたことをきっかけに、社内研修のアップデートに関する継続的なご支援を行っています。
今回は2023年度の取り組みを通してのご感想などを伺うため、平尾様・西林様・岩瀬様にお時間を頂戴しました。
―ではまず、みなさんの部署についてご紹介をお願いします。
平尾 私が所属している人材・組織開発部キャリアデザイン室は人事グループ内の部署で、主に社員のキャリア自立を支援する取り組みなどに携わっています。
その中で、社内のラーニングシステムを活用した社員教育に関する運営管理なども行っております。
岩瀬 私はコンプライアンス統括部に所属しています。簡単に説明をすると、AML(アンチ・マネー・ローンダリングの略で、マネー・ローンダリング対策を指す)や金融犯罪以外のコンプライアンスリスクに対して法規制に基づいた社内ルールを整備したり、モニタリングを行ったりする部署です。
その中で、私は社員向けの研修事務局として、コンプライアンスに関する研修の企画運営などを担当しています。
―どちらも「社員」に関わる部署ですね。今回、社内研修資料の制作をご依頼いただきましたが、どんな課題を感じられていたのでしょうか?
平尾 銀行はルールや専門知識の量が非常に多く、研修の件数や資料の分量もそれに比例しています。社内の声を集めた際にも、研修受講に対する必要性を理解してもらえている一方で、負担を感じていることもわかり、研修の抜本的な見直しが課題として挙がりました。
見直しにあたってはこのように受講する社員のことを考慮しつつ、研修の準備に携わる社員にとっても「改善してよかった」と思えるようにしたいと思っていました。
そのため、「本当に研修で伝えるべきものは何か」ということを見直す必要性と、その伝え方や資料の質を高めていくことの必要性を感じました。
―たしかに、特に入社してすぐは覚えることがたくさんありそうですね。伝える内容の取捨選択が必要なのかもしれません。
平尾 おっしゃる通りです。ですから、「いかに実務に結び付けて実践してもらえるか」という面で考えると、ルールをすべて暗記してもらうのではなく、原理原則を理解してもらい、必要な場面で立ち止まってもらえるようにすることが重要だと考えました。
平尾 しかしながら、私たちは金融知識やルールについて正確に記載することはできても、研修内容をわかりやすく相手に伝えるための資料づくりにおいては正直自信がありませんでした。
そこで、その道のプロに頼ることも選択肢に加えるようになりました。
―そのように外部への委託を考え始められた中で、シリョサクを知ってくださったきっかけは何でしたか?
平尾 通勤中の電車で見た広告です。短い映像なのにすごく説得力があったのが衝撃で、その日の内にはご連絡を差し上げました。あの広告でピンと来ましたね。
―ちょうどお悩みの時に目にとめてくださったとは…!ありがとうございます。
―発注の決め手は何だったのでしょうか?
平尾 シリョサクさんの企業理念と、ショートムービー等で発信されていた内容のおもしろさです。
最優先で見直しを検討していたコンプライアンス研修は、受講者からは難しく捉えられがちで、受講の必要性は感じつつも、どちらかと言えば苦手意識を持たれやすいカテゴリです。
当時シリョサクさんが掲げられていた理念にもあった「おもしろい」というワードはその真逆にあるものだと感じ、遠いもの同士だからこそ、掛け合わさることでコンプライアンスそのものが社員にとってより身近なものになり、受講者の理解が深まるのではないかと思い、シリョサクさんへのご依頼を決めました。
―シリョサクは創業当初から「おもしろさ」を一つの特長として大切にしてきたので、そこを評価していただけたのはうれしいです!
―しかし、当時はまだ創業1年ほどだったので、正直不安があったのではないでしょうか…。
平尾 そういった意味では不安でした。従業員数も今よりもっと少なかったですから、不安がなかったかと言うと噓になります(笑)
ただ、どんな会社にも強み・弱みがありますから。シリョサクさんの場合、弱みよりも資料のクオリティの高さと皆さんの人柄という強みが勝っていると考えました。
平尾 また、コンプライアンス研修はどうしても専門的な内容が多く、資料の見栄えだけを整えても本質を理解した上で作らなければ、本当に伝えたいことが伝わらず、研修資料として成り立ちません。外部の企業にご依頼する上ではその不安もありました。
―たしかに、私たちは金融業界の専門家ではないので、最初は初めて耳にするワードばかりでした。
平尾 それでも、シリョサクさんはお渡しした資料をしっかりと読み込んでくださっていましたし、そのほかの一般的な情報は皆さん自ら情報収集されていたので、その不安は自然と和らいでいきました。
―それまで続けてこられたコンプライアンス研修を変えることに対して、岩瀬さんはどのように感じておられましたか?
岩瀬 私はこれまでの仕事で弊社の研修資料ほど情報が詰め込まれた資料を目にする機会がなかったので、「この大量の情報を全社員が理解できるのか?」と懸念は持っていました。
よって、人材・組織開発部から資料制作についてアドバイスいただけるプロを紹介してもらえると伺い、心強く感じたことを覚えています。
―「良い資料」がわからない状態では、そのような疑問があって当然だと思います。だからこそ、私たちのような第三者がご支援することに意味があります。
平尾 今回協力してもらったコンプライアンス統括部では、2023年度から研修の制作方針が変わり、テーマとして「プリンシプルベース」を掲げています。
それまで研修資料に書いていたことは全部大事なのかもしれない。でも、網羅されているがゆえに内容の優先順位がわかりにくかったのです。
そういったルールベースで作られた資料を、端的にまとめたプリンシプルベースの資料に変える。これが結果的に研修の質の向上につながると思いました。
岩瀬 今回のプロジェクトにおける私たちの役割は、自部署に対して説得することだと思っていました。プリンシプルベースで制作する意味をしっかり伝える。最初にそこを押さえておいたので、大きく方向転換しても成功に向けて動けました。
西林 コンプライアンスの研修は特に間違った情報や誤解を招くような表現がないか注意します。ですから、研修内容も優先順位を整理したり情報の取捨選択をしたりして、シリョサクさんとともにベストな形を作りました。
―途中のミーティングから取り入れ始めたシーソーの図がまさにそうですね。
平尾 研修を受ける方々の気持ちになって考えると、この形で正解でした。今までの研修では運営側の伝えたい気持ちが先行してしまっていて、受ける側は置いてけぼりにされていると感じられていたかもしれません。
平尾 また、詳しい内容を説明する前に研修資料の冒頭で「自身がその研修を受ける意味」を認識してもらうことを意識していました。なぜ受講が必要なのかを理解すると、その後の研修内容についてより理解してもらえるのではないかと考えました。
―制作を進める中で、特にそういった「Why」の部分を重視されているなと感じていました。ブラッシュアップできたのは、その点のディスカッションをさせていただいたおかげでもあると思っています。
―今回のプロジェクトの成果はいかがでしたか?
平尾 まず受講者からのリアクションをお話ししますと、大変好評でした。これまでのコンプライアンス研修で運営側が褒められることはあまりなかったのですが、「とてもわかりやすくなった」「研修内容の理解が深まった」とポジティブな声が届くようになりました。
特に動画を使った研修の受講後アンケートでは、「内容がわかりやすくなった」というコメントが他の研修の約40倍も届いて、私たちもとても驚いています。
また、このプロジェクトによって運営側の意識が変わっています。今回の研修資料を通じて、情報を網羅することよりも相手目線で設計することに意識が向くようになりました。
―聴き手視点の情報設計は、資料に限らずあらゆる仕事において重要だと考えていますので、それが実際にみずほフィナンシャルグループ様の中で起こっているのはうれしいです。
平尾 それと副産物的なところで言うと、資料づくりそのものに興味を持つ人が増えました。研修資料以外でも本部で企画業務を担っている人や提案資料を作っている人にも、この研修資料を通じて「伝わる資料を作る必要性」が再認識されていると感じます。
その結果、研修担当部署向けに、改善後の研修資料を題材にした勉強会を開催したところ、研修の参加者数も上がって、リピートを求められることもありました。
西林 100人行けばいいと想定していた勉強会に、400人以上の方から手が上がりました。声がけしていなかった部署からも、運営側の勉強のために参加したいとご要望がありました。
―みなさん、社内の研修に対してなんとかしたいと思われていたのかもしれないですね。
岩瀬 私のところには他部署から問い合わせが来ましたよ。外部に委託しているのなら紹介してほしいと。
それと、今回の改善活動そのものの認知度も上がりました。社内のプラットフォームでは第一弾のニュースとしてお声がけいただいたり、社長からは全社員に向けたメッセージで取り上げてもらったりしました。
―シリョサクの対応はいかがでしたか?
平尾 キャッチアップのスピードが異常なくらい速かったです。スピーディーに改善してくださるし、こちらから何も言わなくても主体性をもって、より良いものに改善していこうという意識を持たれていると感じていました。私たちと同じチームの一員になって、一緒に改善活動に取り組んでくださったという印象です。
岩瀬 研修内容に対する理解度も素晴らしいです。社員であっても難しいと感じる内容でも、非常に丁寧に細分化して資料にしていただけました。これはどこの会社にお願いしても難しいものです。
平尾 アウトプットがすごいですよね。短い言葉で大事なことを伝えるのは本質を理解していないと難しいものなので、的を射たワードを使われているなと感じました。
西林 アウトプットで言うと、ご提案のスタイルも勉強になりました。資料の修正過程でも私たちの意見すべてを取り入れるというより、一度意見を受け取って、改善の軸は変えずにバランスを考慮した上で再度提案してくださっていました。
―今後の期待感について教えてください。
平尾 研修資料のように他の資料もブラッシュアップできると、作り手・読み手双方にとってメリットがあると思っています。今後も組織にとってプラスに働く取り組みを進めていきたいです。
岩瀬 シリョサクさんにはブラッシュアップをお願いするとともに、資料作成のレクチャーもぜひお願いしたいです。先日拝見したウェビナーでお話しされていた情報のそぎ落とし方は、特に全員に聞かせたい!と思いました。
もし今回の研修資料を自分たちで編集しようとなっても無理ではないのですが、各々のスタイルで手を加える可能性がありますから。一度資料作成の考え方をインプットしてもらって、一人一人のスキルを上げることも大事だと思っています。
できればそのレクチャーもウェビナーのように楽しく学べる要素があるとうれしいです。
―ご期待いただきありがとうございます!今後ともご支援させてください!
―最後に、同じようなお悩みを抱えておられる企業様に向けて、アドバイスがあればお願いします。
平尾 多くの方に物事を正確に伝えることが必要になりやすい大企業の方には、特に違いを感じていただけると思います。この取り組みを通じて、一つの情報を全員に正しく理解してもらうにはテクニックが必要だと再認識したからです。意思決定のスピードアップのためにも、まずは資料を変えるというのも一つの方法ではないでしょうか。
―実際、社内コミュニケーションに課題を感じている方は多いですね。そのお悩みを私たちも一緒に解決していきたいです。
(撮影/阿久津勇太郎 取材・文・編集/石井真子)
うねりは、企業活動における言語化・アウトプットを支援するクリエイティブカンパニーです。
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