この度、株式会社日本政策金融公庫様より、資料作成研修への登壇をご依頼いただきました。
そこで、プロジェクトでご一緒した千代野様に、ご依頼の背景からご感想までをお伺いしました。
ご依頼の目的
資料作成の基礎力を身につけ、適度な情報量で見やすい資料を作れるようにする
支援内容
2時間の資料作成研修を実施
対象者:プレゼンの機会が多い創業支援関連部署に所属する20~40代の職員18名
研修内容:基本の3ステップ、作成効率化のTips、図解力トレーニング
成果
資料作成の基礎力アップ
伝えたいことが1回で伝わる資料作成スキルの習得
資料作成工数の削減
-それでは、はじめに会社と部署のご紹介をお願いします。
千代野 私ども日本政策金融公庫は、政府が100%株式を保有している法人で、国民生活事業・中小企業事業・農林水産事業の3事業で構成されています。
今回研修を開催した国民生活事業では、全国に創業支援センター・ビジネスサポートプラザ・スタートアップサポートプラザといった21の創業支援拠点を構えています。
これらの拠点は、創業の機運を醸成する目的で、イベントやセミナーを開催するほか、個別相談などの取り組みもおこなっており、これらの活動の中でプレゼンをする機会が多くあります。
-ありがとうございます。
遡ると、日本政策金融公庫様とは2023年に「ビジグラ交流会」にお声がけいただいたのが最初のプロジェクトで、次は人事部での資料作成研修でした。
千代野 そうですね。人事部向けの研修には、私も運営事務局の勉強を兼ねて参加させていただいておりました。
-なんと!そうだったんですね。
千代野 はい、実はそうです(笑)その時に「自分の部署でも研修をお願いできたら…」と想像していたので、今回はそれが実現できて嬉しかったです。
-以前から資料作成に関して課題を感じられていたのでしょうか。
千代野 はい、課題は感じておりました。
先ほど申し上げた通り、私どもの創業支援関連部署はプレゼンの機会が多いですから、資料とは切っても切れない関係にあります。しかし、資料作成はリバイス程度が多く、資料の作り方を理解し、ゼロからわかりやすい資料を作る能力は不足していると感じていました。
実際にヒアリングしてみると、PowerPointを開いて、その時に思いついたコンテンツを並べている社員が多くいました。
そうすると、一定形にはなりますが、そもそも自分でも何をしたいかが定まっていないため、その資料を使って報告しても伝わりにくく、意思決定に時間がかかっているようでした。
そのため、まずテキストで考える準備段階の進め方から学び直す必要があると感じていました。
-なるほど。資料作成の基礎がわからないために、負の連鎖を生んでいたわけですね。
資料作成研修は今回が初めてだったのでしょうか。
千代野 資料作成に特化したものは初めてです。
プレゼン研修は毎年のように実施していますので、トーク術に関してはインプットできる環境でした。
千代野 しかし、このプレゼン研修はあくまで話すことに特化していて、出来上がった題材に沿って進めるものでしたので、それより前の資料作成については学ぶ機会はありません。
そのため、今回の資料作成研修を取り入れたことで、初めて実務に結びつけられたと思っています。
-トークが苦手なビジネスパーソンは多いですから、「トークスキルを上げよう」という流れが生まれるのは自然かと思います。
一方で、コロナ禍前と比較すると対面で伝える機会が減り、話さなくても伝わる「資料」の重要性が高まってきているとも感じます。
-今回の取り組みを経て、印象に残っていることがあればお教えください。
千代野 前提、研修コンテンツ自体は大満足でしたので、あえて他の部分で挙げるなら対応のスマートさです。
初回と開催直前にオンラインでお打ち合わせをした際、限られた時間の中で無駄なく進行していただきまして、運営側の私としても助かりました。
以前にYouTubeチャンネルでもお話しされていましたが、想像力を働かせ、手数を減らした上でやりとりしてもらえると、どなたでも喜ばれると思います。
-動画の内容まで細かく記憶してくださっているとは…!ありがとうございます!
-次は取り組みの成果についてお伺いします。
今回の開催形態上、定量的な成果は出しにくいかと思いますので、定性的な部分で成果をお聞かせください。
千代野 受講者から前向きな声が届いたのは一つの成果です。インプットした学びを踏まえて、「やっぱりこのやり方がいいね」と研修後に改めてシリョサクさんの研修のすばらしさを感じているようでした。
中には、実際に資料を作ったところ、上司に対して言いたいことが一発で伝わったという職員もいます。
受講者様の声
いきなりパワポを開くのではなく、まず文字で整理するという点が一番の気づきでした。頭の中でなんとなく思っていたことを文字に起こして整理すると、問題解決までのルートを明確にできるんですね。
講師の伝えたいことが1ぺージにまとめられており、次々とページが変わっていっても頭に入ってきやすかった。
資料作りの前提となる「問いの設定」が、創業セミナーや勉強会でのプレゼンに活用できそうです。今後はまず聴き手目線で「セミナーでどんな問題を解決したいか」「何を知りたいか」を明確にしてから臨みます。
パワポは説明のための手段であって目的ではないという大原則に立ち返ることができた。
千代野 作成者本人が前向きに取り組んでくれるのは嬉しいですし、慣れてくれば資料作成の工数も削減できると思っています。
それによって他の業務にリソースを割けますから、最終的には会社全体として大きな利益につながるはずです。
-わかりやすい資料は組織の意思決定を促します。資料作成スキルは重要度を低くつけられやすいですが、実は組織の資産を形成する要素でもあるんですよね。
千代野 弊社と世の中の状況も交えてお話ししますと、コロナ禍によって、一時は創業を始められる方への融資が前年比66%まで下がりました。それが徐々に回復し、今では以前の数字を上回っている状況で、創業の機運が高まってきていることがわかります。
弊社は一丁目一番地に創業支援事業を掲げています。創業者が増えれば地域がますます活性化し、雇用も生まれますから、私どもはその一助になれるよう、各部署が支援に全力を注げるようにしたいです。
そのような状態をつくる手段として、個々人のスキルアップがあります。今回は導入編としてお願いし、満足のいくインプットができましたので、初級・中級・上級のようにステップアップしていくコンテンツを継続的に提供できるとよいと考えています。
-ありがとうございます。
資料作成のスキルアップはKPIなどに直接結び付けにくい分野ですが、長い目で見ると地域の活性化や雇用の創出につながると思うと、私たちもご支援できて嬉しいです。ぜひまたご提案させてください。
-最後に、御社のような課題感をお持ちの企業様に向けたメッセージをお伺いさせてください。
千代野 先ほども申し上げたように、資料作成スキルの習得は、長い目で見ると会社の利益創出につながる一つの手段です。“いい資料”があれば意思決定のスピードも上がります。いわば会社の武器です。
-なるほど。“いい資料”とは具体的にどのような資料でしょうか。
千代野 あくまで私個人の中での話ですが、「効率的に作られたわかりやすい資料」と定義しています。見栄えがよければなおよしですが、ポイントは効率的に作れることと、わかりやすいことです。
ですから、個々人のスキルはもちろん、意思決定の工数などを含めた「将来的な財産」を生み出す意味でも、資料作成研修を一つの手段として持っておくとよいのではないでしょうか。
-たしかに、スキルや工数は組織にとって財産です。
本当は一人一人がいいアイデアや知見を持っているはずなのに、目に見える状態で共有されていないという組織は多くあります。その媒介として存在するのが資料であり、万人がパッと見て理解できるという意味では最適とも言えるツールです。
資料作成スキルを身につけた人を増やし、その人たちによって作られた資料が組織をひとり歩きできる状態にする。これは私たちのミッションです。さまざまな形で実現できるよう、今後も邁進していきます。
(撮影/阿久津 勇太郎 取材・文・編集/塩谷 いずみ)
うねりは、企業活動における言語化・アウトプットを支援するクリエイティブカンパニーです。
組織の成果創出にお悩みでしたら、ぜひ一度私たちにお話をお聞かせください。